工房を訪ねて(ふくら舎スタッフが直接工房へお伺いして直に話を聞いてきた。)

工房を訪ねて〜上江洲茂生さん(茂生窯)3〜


文/中江裕司(映画監督・ふくら舎仕入担当)




 沖縄の焼き物(ヤチムン)職人、上江洲茂生さんの一年に数度の貴重な窯焚きにおじゃました。工房の裏にある立派な登り窯が、赤々と火を噴いている。






 登り窯は、一番下の火口と呼ばれる袋(室)から、一番、二番、三番、四番と坂を登っていくように袋が並ぶ。まず、火口で薪を焚き、窯全体を暖めてヤチムンの乾燥を促す。その後、下の袋から順に薪を入れて、釉薬の溶ける温度である1200度以上に上げていく。




 茂生さんは、一番の袋の攻め焚き(最後の温度を上げる作業)をされているところだった。袋の両側に開いた小さな窓から、十二分に一度、おーい、おーいと声をかけながら、弟子たちが薪を放りこんでいく。
袋の中では、炎が舌なめずりするようにヤチムンをなめ回している。この炎が登り窯独特の味を生むのだ。




 土と炎が作り出す自然の美。しかし、薪の炎はコントロールが難しい。
窯の中の温度が低いと生焼けになって陶器の色や光沢が出ない。高すぎると釉薬がこげてすべてがダメになる。今では温度計を使う人もいるが、茂生さんは昔ながらの方法で、炎の色を見て決める。炎が白くなってきた時が、薪の投入を止めるときなのだそうだ。


「窯の中ばかり見ているから、目を痛める人も多いよ。私が修行した仁王窯ではヤチムンを運ぶ係でね、窯焚きを手伝った時に薪を勢いよく放りこみすぎて、袋の中の角瓶にあたったのよ。見たら角瓶がなくなっておったよ。言うと怒られそうだから、知らんふーなー(知らんぷり)した。窯焚きは、失敗したら一年間の苦労が水の泡だから、何年やっても緊張するよ。いつ、火を止めるかは自分が決めないといけないから」。



 窯焚き中に雨が降ってきた。雨が降ると薪が濡れて影響が出るそうだ。窯焚きは、まだまだ続く。私は、雨が止むことを願って帰路についた。





【次回に続く】



◇◇◇
沖縄の心のこもった上江洲茂生さんの器やジーシガーミは、沖縄桜坂劇場内ふくら舎2階や、ふくら舎オンラインショップでお求めになれます。



ふくら舎2階
沖縄県那覇市牧志3-6-10(桜坂劇場内2階)
営業時間:10:00〜20:00
お問合せ:℡098-860-9555

オンラインショップのトップページは、こちらからどうぞ。



工房を訪ねて



沖縄ざっか・アート・本 ふくら舎オンライショップ